タンクキャップと青い空
2004年06月02日
気持ちのいい天気だった。胸がすくような、青空だ。
こんなときこそ、スポーツスターに乗ろう。エンジンに火を入れて、行き先は、走り出してから考えれば良い。
松本市内から、塩尻のインターチェンジに抜ける道がある。信号も少なく、車の流れも良い。快適な道である。
集落を過ぎて、ちょっとした林の中を抜けると、一気に視界が開ける。一面の畑、眼下には松本の市街地が小さく見える。遠くには北アルプス。風が心地よい。
こんな風に、景色を眺めながら、のんびりと走るのが好きだ。素っ気ないほどシンプルな883のメーターまわりは、ゆったりとした風景によく似合う。そして、それにもまして好もしいのは、クロームのタンクキャップに映える、青い空である。
本来ならば、走りながらタンクキャップを見つめているなんて、危険きわまりない。だが、あなたも乗ってみればわかる。まるで魚眼レンズで見た風景のように、ちょうど良い角度で空が映り込む。小さなタンクキャップの表面は、きらきらと青く輝き、流れていく白い雲が彩りを添える。それはあたかも貴重な宝石のごとく、大げさに言えば、この青空を両手で抱え込んで走っているような、そんな気分にさせてくれる。
陶然としていると、すぐにコーナーが迫ってくる。ブレーキを利かせ、スピードを充分に落として、ゆっくりと旋回する。
アクセルを開け、加速していくと、高まってくるエンジンの鼓動。
胸の奥から、こみ上げてくる笑い。
そうなのだ。
これが楽しくて、ずっと走り続けている。
きっと、明日も。
スポーツスター徒然草 | パーマリンク | ↑ページの先頭へ